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1 幕間
脚を打ってからいじめはおちついたようだ。こまかいものはあるらしいが、薫も言わないので、俺も聞かない。現状どうしようもないし、いじめられようが、一緒に遊びたいと言った薫の言葉に甘えることにした。
俺の方も集会を開いて事情を説明して、週二回の定期集会を開くことのなった。特にやることもないので児玉に任せたら、手の坪押し会にきまったので、今は勉強している。収まるかはわからないけど、男としてかっこいい、尊敬する、という路線に変更しようと結論が出た。実際、蜂ヶ谷のところはそんなかんじだからうまくいくかはわからないけど、がんばりたい。
「ツボ押しですか、いいと思います。源氏様は体温が高いのできっときもちいいです。それに、人に何かするということが源氏様は好きなので」
「そうか?」
「源氏様は、僕に過保護で過干渉だと、時折、謝られますが、それは人のことを思えることだと思います。源氏様は人を喜ばせることが好きな人です」
「ほめすぎだろ」
「源氏様は家の人たちの事を良く思ってないかもしれませんが、家の人たちも善人とは言えませんが、人に何かをするのは好きな方たちだと思います」
「それ矛盾しない?」
「少し、思いが大きいだけです。よりいい社会になりますように、と、そのためには取りこぼしを許したり、自分の方がよくできると戦ってしまったり。でも、誰かのためにと思ってるんです。じゃないと、両親を亡くした僕を養うことはないでしょう。使用人の方たちは……これは、当主と鶴様しか知らないことですが、訳ありの方が多いのです」
「知らなかった」
「家も、質のいいものは多くても、悪趣味な出費はないのです。必要以上の私腹の肥やしもない。できるだけ還元をうたい、そのとおりに実行されています。だから、武田の血もいいところはたくさんあります」
「まぁ、認めたいところはあるよ。俺も結局、武田から出ていく気はないし。会社はいい会社だと思うから」
ここをでたら大学に行って、それからはそのまま家の会社に就職する予定だ。そこに昔から異論がないのは、父の会社で働く人達が会社を悪く言わないからだろう。
「源氏様は進路どうなさるのです」
「悩んでるんだよね。上の大学上がって経済学か、それか、技術系に行くか」
会社には二大派閥があって、長男の鶴が率いる商社的で営業至上主義、協力工場開拓派と三男、叔父率いるメーカー的で技術向上、自社開発にこだわる派だ。俺の大学進学はこのどちらの派閥に入るかの重大な意思表示になる。
「もうすぐ進路提出あるから、一旦、実家にさぐり入れた方がいいかな。どっちかっていうと技術系の専門学べるとこ行きたいんだけど。薫なんか情報ある?」
「それは、わからないです」
「だよな」
「どちらを選ぼうと薫は源氏様の味方です」
「大げさだな。まぁ、どっちを選んでもどっちかにはキレられるだろうから、味方がいてよかった。風呂いってくる」
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