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1 明けて、朝
朝起きると、薫も横で寝ていた。昨日、行為後そのまま寝てしまったようだ。昼までは起きないかもしれない。そっとべッドを出て水を一杯飲む。俺も昨日は疲れた。とか言ってる場合じゃない。服を着て、俺は薫の机にある辞書風のカメラを手に取った。SDカードに記録のタイプのようで、それをパソコンにつないで動画再生すると動画はよく取れていた。画質は悪いけど音声もとれるタイプみたいだった。
かわいそうに、薫がずっと泣いている声がする。それでも顔も体も画質が悪いし、俺の体が邪魔であまり見えないように写っていた。
「源氏様」
声をかけられて、振り向いた。
「おはよう。薫。体、大丈夫?」
「源氏様はわかっていたのですね」
薫は動画を見ている。
隠しカメラをみつけてすぐに薫が執拗に俺に迫っていること合点がいった。鶴の狙いは、俺の弱みを握ることで、性行為の動画を取らせようとした。さらにいえば、薫を俺にレイプさせるというのが一番ほしかった動画だろう。
「こんな悪質なことさせるあいつはマジでクズだ」
動画を切った。薫のいるベッドのもどる。薫はいつにもないような狼狽した顔で俺を見てる。姿勢を正そうとしているらしいが体が痛いのか、みじろいで断念した。
「もう、いいだろ。薫、全部話しな。そのうえで、俺が、どうするか決めるから」
薫は口を開く。それがご、と開くがわかったので、口をふさいだ。
薫はもうなれたのか、口を開けて、俺の舌を受け入れるけど、舌は所在無さげにしているのがかわいらしい。唇を唇で吸って口を放した。
「謝らなくていい。全部、くそな鶴が悪いから、ただ、事実だけを話して」
薫はもう観念したと言う風に言葉を述べた。
「今、武田の会社は長男鶴様派と、次男由比様は別れています。当主は、その分断にどう思ってるのかわかりませんが、近々どちらに成長戦略をかけるか、大幅に対比を着けるとのうわさが広がりました。その最初のとっかかりに、源氏様を味方につけたいと」
「まだなんもしてない、四男なのにな」
「上の三人のお兄様型は大変できるお方です。みなさん今まで優秀だった源氏様のことは高く評価しています。ご子息がいるというのはつよいコネです。源氏様は、次男を支援する叔父さんと懇意でしたので、鶴様が、弱みを握って来いと、薫が弱みを握ってこなければ、源氏様の入社後圧力をかけると、こちらについたら、甘い汁をすわせてやるからと。それでも源氏様は大学の勉強を熱心にしてるのを薫は見ていてとても邪魔できないと思っていました」
「それで、あんなにふさいでたのか」
「薫はどうすればいいのか、わからなかったのです。ただ、期限がせまってきて、鶴様が」
「鶴が?」
薫はそこで、黙り込む、はたして、どんな胸糞なことを言われたのか。鶴は自分の目的のためにはなにも手段は選ばない。それに、薫と俺、特に薫の事がそもそも嫌いなのだ。
「鶴様が、お前に魅力がないから、源氏様も薫をおそわない。興味がないし、むしろ、貧相で、臆病なお前の事が嫌いなんだって、レイプが無理なら、暴力を振るわれる方が簡単かもしれないと」
ぐっと怒りが沸く、眼があかくそまるというのはこのことか。確実に血管がどこか切れた。
「あいつは、マジで、人を何だと思ってる」
「薫は、その時、思いました。源氏様に暴力をふるわせることなんて無理だと。源氏様は優しい。ことさら薫にはとても。そんなこと無理だと、それと同時に、薫は、魅力がないのかもしれないと、いろんな男の人と、遊んできたはずなのに、薫は抱いてもらえないのか」
「薫」
「はしたないとは、わかっています。鶴様に、レイプの参考にといくつか動画を見せられて、すごくすごく、怖かった。でも、源氏様に抱かれるのは怖くなかったんです。本当です。源氏様は、怖がってるといってましたが、緊張していただけで、本当はされたかった。源氏様に犯かされたかったんです」
「まって、、そんな、格好で」
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