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第二章・11話

「あの、武藤さん。今度の金曜日、僕のマンションに来ていただけませんか?」 「金曜日?」 「チョコレート・フォンデュを御馳走したいんです」 「いいねぇ。お邪魔しても、いいの?」 「もちろんです!」  涼真から色よい返事を聞けた瑞は、今から胸がどきどきしてきた。  部屋を片付けなきゃ!  花を飾らなきゃ!  そうだ、アロマも焚こう!  こんなに心が浮き立つなんて。  こんなに誰かのことを想えるなんて。  幸せな心地の瑞は、一週間お菓子を作ることなく週末を迎えた。 「ベタだけど、赤にしたよ」  涼真は、赤いバラの花束を持って訪問してくれた。 「すごく……嬉しいです」  赤いバラの花ことばは、『あなたを愛しています』だ。  もし涼真がそれを知らなかったにしても、瑞には嬉しいチョイスだった。  部屋の中は、チョコレートの甘い香りでいっぱいだ。 「掛けてください。すぐに食べられるようにしておきましたから」 「何か手伝おうかと思ってたんだけど、すまないね」  テーブルの上には、チョコレートファウンテンが。  そして、様々な具材が所狭しと並んでいた。  フルーツ、マシュマロ、マフィンやポテチなどの定番から、チーズやサラミまで。 「まさか、チーズやサラミまで手作りじゃないよね」 「さすがにそこまでは」  二人、笑いながら席に着いた。  ワインで乾杯した後は、おいしいチョコレート・フォンデュをたっぷりと楽しんだ。

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