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第二章・12話
「武藤さん、食べさせてあげますよ。はい、あ~ん」
「白河くん、酔いが回ったか?」
瑞の差し出すイチゴをぱくりと食べて、涼真はご機嫌だった。
入社してから何かと心配の種だったが、もう大丈夫のようだ。
そんな時、少し酔った瑞が話し出した。
「武藤さん、今日が何の日か知ってますか?」
「ふふふ。バレンタインデー、だよね」
バレンタインデーにチョコレート・フォンデュが食べられるなんて最高だ、と涼真はワインを一口飲んだ。
「もう。バレンタインデーって、何の日か知ってます?」
「? チョコを食べる日」
ダメだなぁ、と瑞は天を仰いだ。
「好きな人に告白する日、ですよ」
瑞は、熱いまなざしを涼真に向けた。
「好きです。武藤さん」
とまどいは、あった。
だが、日常の瑞の自分に対する態度を見ていると、解らないわけではなかった。
白河くんは、俺に好意を持っている。
そんな風に、漠然と感じていた。
ただ、彼の口からこうもハッキリと告げられるとは思っていなかった。
「Ωの方からαに告白しちゃ、ダメですか?」
「そんなこと、ないさ」
いや、返って嬉しかった。
Ωである自分に劣等感を抱き続けていた瑞が、αである涼真にここまで積極的になったのだ。
自虐の念を乗り越えた証のようで、その成長を喜んだ。
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