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ふさふさ?

 たまたまなのかもしれないが、アスカがモンスター居住区で見掛けたヴァンパイアは、ハゲばかりだった。スキンヘッドと言い換えてもいいが、ツルツルなのは同じだ。坊主頭もちらほらいたが、流行りとしか言いようがないくらいに目に付いた。  男のようにふさふさなのは、初めてだ。聖霊達の期待通りに、親しくなるようなことがあれば真っ先に聞いてみようと、アスカは思う。美男揃いと評判のヴァンパイアの美意識に迫ってみるのも面白い。 「ははっ」  アスカは小さく自嘲気味に笑った。まず無理なのはわかっている。男が何をしに来たにしても、アスカに興味はない。四十分のコースの半分以上を過ぎたというのに、男は足を組んだまま、微動だにせず、無表情でアスカを眺めている。  個人的に興味を持ったのなら、行動を起こすだろう。疑似恋愛に熟達するヴァンパイアになら、お手の物だ。馬鹿にするように鼻を鳴らされはしたが、ひややかさには一ミリの変化もなかった。

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