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ノリの悪さ?

 男は来たくて来たのではない。人間外種に登録変更するような人間が大っ嫌いなヴァンパイアが、好き好んで来るはずがない。身なりを見ても、糧に困っているとは思えない。とするのなら、男の用件は一つしかないことになる。アスカに頼み事をしに来た。  答えは決まっている。お断りだ。向こうが毛嫌いするように、こちらもかかわりたくはない。アスカは同じ問い掛けを繰り返し、何をしに来たのかを聞かずに済まそうとした。それしか方法が思い付かなかった。  占い絡みの世間話でお茶を濁し、時間が来たら追い払う。いい考えだと思ったが、早計だった。ヴァンパイアのノリの悪さを考慮しなかった。四十分をどうにか遣り過ごす為の切っ掛けが欲しいのだが、敵も然る者、沈黙を貫いている。  心理的に追い詰めようという作戦かもしれない。恐怖で逃げ場をなくさせる。悔しいが成功していると言えるだろう。アスカは悶々とし、戦々恐々と同じことを繰り返すばかりだった。

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