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噂をネタに?

 両親の知らない荒れた生活も、高校卒業を契機に終わらせた。いつまでも子供ではいられない。アスカはどう生きるかを思い、両親のもとを離れる時が来たのを悟った。  モンスター居住区で、聖霊達の噂をネタに占いをして稼ぐ。『人間外種登録変更制度』には能力の活用という条件がある。そこに付け込むように、聖霊達に占いを勧められたのだった。 〝これで心置きなく楽しめるぅぅ〟  聖霊達の本音が聞こえたが、アスカは彼らと手を結ぶことを選んだ。彼らが好む人間の噂は、スキャンダル誌に載るような俗っぽさで、アスカには殆どがどうでもいい話だった。彼らは何よりも惚れた腫れたの修羅場を好み、臨場感溢れる仲間の喋りには興奮しきりなのだ。  アスカが恋に無縁な硬派として生きるしかなかった理由も、わかるというものだろう。成長と共に聞き流せるようにならなければ、発狂していたに違いない。それが皮肉なことに、聖霊達の喋りをネタに生活することになった。

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