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おじゃん?
周りの人間に名前を忘れられたことは気にしていない。これからの人生を思い、モンスター居住区に移ろうと決めた時にも考えなかった。可愛らしい呼び名とも無縁だったが、年寄り臭く達観し、どこか冷めた目をしていたのだから、仕方のないことだ。それより両親に守られ、〝あの家の息子〟として生きることに、ほとほと疲れていたのだった。
一匹狼を気取るくらいだ。生者とはまともに話したことがない。聖霊達からやいのやいのと噂を聞かされ、口より先に手を出すようになった。死者となると、隙を見せれば襲われるのだから、たまったものではない。間合いをはかり、その声を遮断し続けていた。疲れない方がおかしい。
『人間外種登録変更制度』は、アスカには救いの神だった。人間とのあいだに、確固とした距離が作れた。〝クソマジにヤバい声の男〟の出現で、おじゃんになるかもしれないが、今のところは人間との付き合いにも、悩まされることなく過ごせていた。
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