モンスター居住区に出入りする人間種は、アスカの客のように金を落としてくれる者を除けば、モンスターに仕える者達しかいない。法的には人間らしく従業員と呼ばれるが、彼らはモンスターに尽くすのを生きがいとしている。聖霊達も彼らの噂には慎重だ。下手に噂して、モンスターとの約束を破ることにでもなれば、後が怖い。何をされるのかと恐れ戦いていた。 　モンスターの中でも、ヴァンパイアはとりわけ執念深い。ヴァンパイアが糧の血筋に拘るのを見てもわかるだろう。ふくよかな香りと味わいを求めてのことだと、雑誌の取材に答えていたのを読んだことがあるが、嘘っぽい話だ。気位の高さが理由に決まっている。 　モンスターに雇われたがる人間は、モンスターを崇拝してやまない者達だ。ヴァンパイアとなると、さらに激しい。人間外種に登録変更した能力者は唾棄すべきものと見る。モンスター居住区はモンスターの町だ。それを肝に銘じろと言いたいようだった。