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救いのない悪?
微妙な立場も、モンスター居住区で平和に暮らせるのなら、それに越したことはない。仲間の能力者達に、落ちこぼれの用なしと思われるくらいが世の中も平和だ。アスカの思いも、そこにある。
『霊媒』は彷徨う死者を浄化し、本来向かうべき光へと送るのが仕事だが、アスカにはそれが出来なかった。代わりに、浄化も難しい悪と化した死者を、完全なる闇に落とすことが出来る。そこは救いのない悪が行き着く先でもあった。
能力を明らかにする検査では、死者の姿が見えるとだけ話した。聖霊達の声が聞こえることは、おまけのようなものだ。ぎりぎりでも、それで検査が通ったのだから御の字だろう。殴り倒したい奴らばかりだったが、結果には満足していた。
聖霊達も、ここ数百年、救いのない悪に成り下がるような死者は現れていないと噂している。子供の頃は恐ろしくて震えていたが、それらにしても光へと送れる死者だ。無慈悲な能力に使い道はない。それで良かった。
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