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金気臭い?

 この男が相手だと、これ程までに気楽な気分で話せることは、アスカにも驚きだった。精霊達の声に邪魔されないのが理由だが、噂しないというモンスターとの約束を守る彼らが、欲求を満たす為に成した静寂でもある。アスカにはさして喜べることではなかった。  時代の変化後に起きたことは、モンスターの生死にかかわる過去に繋がる危険がない。聖霊達がお遊びで噂し合うのも自由だ。聖霊達はこの男が現れると知り、期待に胸を膨らませた。声を切っ掛けに、アスカが男の匂いにも刺激されると見抜いていたのだ。〝もろタイプ〟というのは、語るまでもない。  アスカは死者の悪臭に長年悩まされている。遮断し、遠ざけるしかないものだが、ヴァンパイアにそこまでの忌避感はなかった。人間の生き血を糧にするだけあって、金気臭い匂いをさせているが、死者の悪臭を知る身には芳しいとさえ思えた。生肉を好む人狼も同じだ。獣臭い匂いをさせていても、個性として捉えた。

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