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女扱い?

 人間達は死者の悪臭にもモンスターの匂いにも気付けないでいる。聖霊達の噂では、死者は見えないからで、モンスターは幻惑されるからなのだそうだ。芳しいと思えたり、個性と捉えるアスカも幻惑気味だが、男は本当に爽やかで気持ちのいい匂いをさせている。官能さを内包する清廉さは間違いなく男自身の匂いと、アスカには思えてならなかった。  アスカは男を見上げた。ヴァンパイアの無表情さは消えていた。そこに絡まず、他人の関係でいるべきと思っても、苦々しさに歪むハンサムな顔が憎らしく感じた。 「女々しい顔は好みじゃねぇの?」  幾ら気楽に喋れても、ここら辺りが頃合いだ。しかし、言わずにはいられなかった。アスカは父親が一目惚れしたという顔を顰めて言った。 「ドン引きしやがってよっ」  目立たないようにしていた子供の頃は女と思われた。成長しても女に間違われた。さすがに中学になると間違われなくなったが、代わりに女扱いされるようになった。

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