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女々しい男?
アスカは〝もろタイプ〟が現れるまで、男女どちらに恋するのかにかかわらず、男臭さこそが正義と思っていた。アソコはそれを証明してくれたのかもしれない。自分自身の理想に似合う恋人には、山男並みのヒゲボーボーは遠慮したい。三十代半ばに見えるヴァンパイアは、体格的には立派だが、毛むくじゃらなヒゲボーボーには程遠かった。
〝女々しい顔は好みじゃねぇの?〟
自分の言葉に、わかっていても気落ちする。この男も、山男並みのヒゲボーボーは遠慮しそうだが、可愛い系も好みではなさそうだ。自分の顔にうじうじしない美人系がお似合いだろう。ノーネクタイで濃紺のスーツをそつなく着こなすところにも、隣に立たせる恋人に求めるものを想像させる。フードで顔を隠すような女々しい男でないのは明らかだ。
アスカは自嘲するように鼻で笑った。
「あんたの好みなんて……」
強がるつもりはなかったが、思わず口をついて出る。
「……俺にはどうでもいいけどな」
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