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場所が問題?

 今日の予約は、〝クソマジにヤバい声の男〟の電話予約と、ネット予約の二件だけだった。予約と同時に料金の支払いを済ませてもらう世の中で、電話予約した男は現金払いを希望した。名前も名乗らなかった。  名刺を残したのだから、ヴァンパイアとして何者であるのかを隠すつもりはないようだが、電話では秘密めいた雰囲気の悩める男を思わせた。占いの為にモンスター居住区に来るような男だ。匿名にして欲しいと言われて、あの時のアスカが気にする理由もなかった。  男の声が悪いと言い訳しようが、結果は同じだ。浅はかなアソコが招いた事実に変わりない。二度と仕事に感情を持ち込まないと、胸に刻むしかなかった。もう一件の予約にはそういった軽率さはない。占い師として駆け出し者のアスカには、その一件が重要だった。  『霊媒』と公言する占い師はあまたいるが、同業者は残らず人間種社会に留まっている。本物かどうかが問題ではない。場所が問題だったのだ。

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