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別荘地?

 アスカが生まれる何年も前のことだ。時代が変化した時、ヴァンパイアは代理人を通して、モンスター達の権利を主張した。人間外種特別保護区域の法制化にも携わった。  代理人は時代が変化する遥か以前から、秘密裏に雇われていたそうだ。ヴァンパイアが所有する財産を守るには、先祖代々引き継がれたものと偽るしか方法がない。その役目を、代理人の一族が長年にわたって担っていた。  時代が変化したのちに、告発を免れたのは、代理人の由緒ある事務所の働きによるものだった。架空の人物による相続が明るみにされても、モンスター保護を盾に取り、既に正規に申告納税したものと言い張った。その金額たるや凄まじく、文句の付けようがなかった。  ヴァンパイアは財力に物を言わせ、人間外種特別保護区域―――通称モンスター居住区を作り上げた。モンスターにはのどかな環境が望ましいと提言したのも彼らだ。それによって、緑溢れる別荘地が、彼らの棲み処となった。

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