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売れ残った一軒?

 モンスター居住区への許可証を手にした時、アスカは観光化された地区の中心街に店を構え、そこで暮らせるよう計画を立てた。中心街には観光バスの発着場がある。能力者御用達のスーパーマーケットもある。客にも自分にも便利な場所だ。新たな生活を始めるには最高と思えた。その希望は不動産会社の担当者に伝えてあった。  人間外種に登録変更した能力者の情報は、外部に漏らしてはならない。違反すれば大惨事だ。能力者を毛嫌いしようが、モンスター達はそれを攻撃と受け取る。不動産会社の担当者のニコニコ顔は怪しげだったが、その点では安心していられた。  それが間違っていた。しつこく希望を伝えるべきだった。担当者には男と知られていたのだ。少女趣味の極みのようなこの家へと案内されることもなかっただろう。担当者の満面の笑みに、地の聖霊に操られたというより、売れ残った一軒を何としても片付けようという熱意を見ても、アスカはそう思おうとした。

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