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お値打ち?

「はぁ……」  あの日を思うたびに、アスカの口から溜め息が漏れる。聖霊達と結託したはずもないのに、不動産会社の担当者に見事にして遣られた。  その不動産会社は時代が変化する以前からこの区域の開発事業を手掛けていた。モンスター居住区に定められたあとも豪勢な別荘群の管理を請け負い、会社の株主がヴァンパイアであったのが知れたこと以外、組織として何も変わっていない。モンスターに雇われるのを嫌がった社員は辞めたが、殆どの社員は仕事に勤しんでいる。一部区域が観光化されたこともあって、中心街を整備する事業で売上を伸ばしていた。  担当者のニコニコ顔にはそうした事情があった。商業地域として発展する中心街より、売れ残った一軒を買わせ、別荘を維持する管理料を継続的にふんだくる。根が善良な両親には気付けないことだ。胡散臭げな笑顔も誠実に映る。今なら優遇処置で補助があり、特別価格がさらにお値打ちになると言われ、大喜びだった。

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