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マザコン気質?

 昼はスープにパン、温野菜にドレッシングをかけて食べた。パンとドレッシングはスーパーマーケットで買ったものだ。スープと温野菜は、母親が作り置きして冷凍庫に保存させたものだった。他にもカレーだの煮物だのと、小分けされて入っている。親元を離れはしたが、食生活は母親任せのまま、変わっていない。  アスカは料理に興味がなかった。準備や片付けに労力を費やせても、自分で作るという考えが最初からなかった。母親に甘やかされて育ったアスカには、料理とは常に完成した状態を言うのだった。  そうした面ではマザコン気質だろう。洗濯も掃除も機械がしてくれる。食事も機械頼みの予定だった。アスカにとって、母親の干渉は利便性に優れたことなのだ。やいのやいの言われるくらい、気にもならなかった。  今も腹が満ちたことに満足し、受付へと戻った。フードを被り、椅子に座って魔女らしく気持ちを引き締めた。ところが、どういう訳かうまく行かなかった。

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