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名付けて欲しい?

 聖霊達に名前はない。人間が物に名前を付けたとしても、それは一時的な呼び名であって、ヤヘヱのように精霊自身の名前になる訳ではなかった。  人間が作り出した物に宿る精霊達は個別に見えても、実際には一つの塊だった。その塊から物へと出張っているようなものだろう。人間が手にした物に命を与え、生きた証を残していると、アスカにはそう見えている。  人間に使われなくなった時に、彼らは物から離れ、新たに作り出された物へと移って行く。ゴミと捨てられたあとでも、拾われた瞬間、彼らはそれへと舞い戻る。ただ存在し、消え行くだけの物体に命を吹き込むのだ。そして彼らの記憶に生きた証が刻まれる。  その繰り返しの中で、聖霊達は個々としての意思を見せるようになったが、ヤヘヱのような独自性はない。思い思いに騒いでも、彼らの考えに違いはなかった。そのせいか、アスカは精霊達から名付けて欲しいと言われたことがなかった。ヤヘヱは違うようだった。

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