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潜り込んで?

 ヤヘヱが見事に釣られた。 〝み、み、み……〟 「み、み、み?」  アスカはわざとらしく繰り返した。 「〝だ〟は?」  そちらも忘れないようにと、ヤヘヱを促す。 〝み、み、み……だ!〟  何か閃いたのだろう。口調に弾みが付いた。仄かな光にどんよりと暗くまつわり付いていた煌めきにも輝きが戻る。 「み……だ?」  疑わしげに問い直したアスカに、ヤヘヱが口調を早めて一気に答えた。 〝身の程知らずだ、でござりまする〟 「なっ……んだとぉ!」  咄嗟に凄んでしまった。まさかそう言われるとは思わなかった。苦し紛れな思い付きでも、許せることではない。アスカは男の手首を掴んでポケットから引きずり出した。勢いに任せて目の高さに持ち上げ、腕時計に向かって怒鳴り付ける。 「てめっ!ふざけてんじゃねぇぞ!」  ヤヘヱが怯えた。まさにピーと泣き付くかのように、仄かな光が一瞬で腕時計へと潜り込んで行く。今回は恥じ入るような煌めき一つ残し忘れることもなかった。

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