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欲望の塊?

 ヴァンパイアの鼓動は半死人らしく極めて緩やかで人間の耳には殆ど響かない。ひんやりした気配も、鼓動による体温のぬくもりがないからだった。聖霊の声が聞けるアスカはごまかせないが、人間には幻惑することで温かいと感じさせている。  男に抱き寄せられたのが二度目のアスカは、ヴァンパイアの抱擁の冷たさも知っていた。一度目は、耳に響いた男の声がアソコを直撃し、少しも気にならなかった。二度目の今は、男の爽やかな匂いがアソコを迷わし、何が起きているのかを考えようとするアスカから知性を奪う。 「目を閉じてくれ」  男がクソマジにヤバい響きで言った。突然、アスカの首筋に顔を埋めるようにして囁いたのだ。アソコの喜びようは筆舌に尽くし難い。アスカも何の為にとは問い返せなかった。 「えっと……」  アソコと言えば、ロングドレスとマントが思い浮かぶ。欲望の塊と化したアソコを隠せそうもない。裏切り者のアソコが男にバレる。アスカは焦った。

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