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鬼と変わる?
「そんな話、聞いてねぇぞ!」
アスカは叫んだ。真っ先に両親の顔が頭に浮かび、情けない声で続けた。
「どうすんだよ」
両親に見られでもすれば、問い詰められるに決まっている。アスカは子供の頃から二人に嘘が吐けないでいた。ヴァンパイアが付けたものだと話してしまうだろう。そうなれば、両親が鬼の形相で乗り込んで行くのは目に見えている。
息子を守るのを生きがいにした両親に、ヴァンパイアの恐怖を語ってみても、聞こえはしない。二人にとって、アスカは幼い子供のままなのだ。成長し、親の保護を必要としなくなっても、変わらずアスカを守り続けている。聖霊達のけたたましい叫び声で逃げ足も速くなり、喧嘩上等で生きていたのを両親に知られずに済んだ幸運を、アスカは身に染みてわかっていた。
普段はのほほんとして間の抜けたところのある両親が鬼と変わる。正真正銘のモンスターに、それがどういうことなのかをわからせるのは至難と言えそうだった。
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