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教えた?
「糧の回しはご法度でね」
それが男の答えだった。クソマジにヤバい響きの端々に、何度か口にした〝あやつ〟を感じさせながら楽しそうに話している。
「紋章を持つ者に手を出してはならない」
男の〝キスマーク〟が、未だ知られていないヴァンパイアの恐怖からアスカを守る。そう言われたようなものだが、アスカには信じられないことだった。
「手を出したらどうなる?」
「仕置きをする、禁を犯した仲間のみならず、糧にも」
「だけど、糧は知らねぇよな、不公平だろ」
「ふふ、君はそちらを気にするか?仕置きではなく?」
男がアスカへと手を伸ばした。それが無意識だったのは、アスカの頬に触れる直前で、はっとしたように指を曲げ、引き下ろしたのでわかった。
「糧はチヲカテトスルモノに隷従する」
視線を僅かに逸らせ、昔を懐かしむようなわびしさで続けて行く。
「何をされても仕置きとは思わない」
「じゃ、なんで俺には教えた?」
アスカは即座に問い返していた。
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