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クソ野郎?

 アスカは平穏な暮らしを求めて、モンスターとはかかわらないようにしていた。それが何の因果か、ヴァンパイアの糧になった。そのヴァンパイアは安心安全な男で、〝フジタクミ〟という名の恋人もいる。目くるめく愛欲の炎に身を焦がす夢は絶たれたが、聖霊達の噂に便乗し、奇妙な三角関係で男をからかい、楽しくも健全に生きては行ける。皮肉にもモンスターによって平穏な暮らしが保証されたのだ。 「あんたさ」  それにはまず目の前の問題解決と、アスカは思い付くままに尋ねた。 「〝あやつに手出しさせぬ〟なんつって、〝キスマーク〟まで付けたけど、俺にしたら、そいつ、何様って話だろ?霊媒っても落ちこぼれだぜ、そんな俺になんの用があるっての?」  アスカの問い掛けに、男が気持ちのいい笑いで答えた。ごまかすというより、細かい説明が端折れて喜んでいるといったふうだ。つまり〝我らが殿〟は、アスカの疑問を答えとするようなクソ野郎と言えそうだった。

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