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昔の癖?
「笑ってねぇで、なんか言えよ」
アスカがむすっとするのが、男には楽しいのだろう。クソマジにヤバい響きを笑いに震わせ、アスカの問い掛けをわざとらしくすり替えて、嬉しそうに答えている。
「あやつのことは私に任せよ、君は……」
言いながら、すっとアスカの背中に手を回し、フードを取ってアスカの頭にふわりと被せた。
「な……なんだ?」
「何も喋るなということ、フードに隠れていろ」
「はっ……い?」
アスカは腹立たしげに言った。占いの小部屋でのことを揶揄されたのだ。それがわかるからこそ、ぱっとフードを払い落とし、叫ぶようにして続けた。
「クソが!ふざけやがって!」
感情表現が希薄なヴァンパイアを楽しませようとしたのではない。男にもわかっていることなのに、男は心底楽しそうにしている。その柔らかに綻びるハンサムな顔がアスカには憎らしい。ゲームの女主人公扱いされた日々を思わせる。それでつい、昔の癖で男に殴り掛かってしまった。
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