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父親と同じ?
アスカは自分の別荘がすっぽり収まりそうなエントランスを、興味深げに眺めた。遊園地にある異国情緒たっぷりのアトラクションを思い、非日常的な様相に目を見張る。奥には恐怖のモンスターまでいて、まさに完璧と言える気がした。
甘く濃厚な香りでヴァンパイアの金気臭い匂いを消そうというのか、大ぶりのガラス花器一杯に深紅のバラが生けられ、客を迎える位置に据えられている。大理石の床には絨毯が敷かれ、左手にある階段へも、奥へと繋がる廊下へも敷き詰められている。洒落た小彫刻置台や飾り棚があり、内装にも趣向を凝らしたのが窺える。
「気に入ったのか?」
エントランスへの興味が、男にはそう見えたのだろう。陰にこもった声音で問い掛けられたが、それがアスカには驚きだった。
〝気に入ったの?〟
別荘を下見した時に、父親が母親に言ったことだ。響きは真逆だが、同じ台詞を男が言った。陰気な響きだろうが、思いも父親と同じに聞こえてならない。
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