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アホたれ達?

 モンスターと聖霊達には約束がある。時代の変化を迎えるには、人であった過去を持つヴァンパイアや人狼には必要なことだった。その身を塵にし兼ねない血の系譜と呼ばれる記憶が人間に知られないよう聖霊達の口を封じたのだ。聖霊達は約束を守り、アスカにも血の系譜についての詳細を話さないでいる。その意味でなら、モンスターと精霊達は共謀していると言える。〝ヌシ、怖い〟とは、本当にちゃんちゃらおかしい。  聖霊達は変異の仕方も知らない男二人の噂でヌシを煽った。激怒させ、楽しんでいる。欲望に正直な困り者達だが、話が男二人に限定されているあいだは、アスカの密やかな楽しみへの影響も薄い。 「〝口は慎むに限る〟ってのはさ」  目の前を歩く男の背中は強靭として、眺めていても飽きない。アソコが思い出したようにぴくッとし、声と同じに背中もマジにヤバいと伝えて来る。アスカはそれに軽く頷き、言葉を繋げた。 「噂好きなアホたれ達に言わねぇと」

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