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少年が一人?
守護が男の信念だ。頑固に貫き通す姿が目に浮かぶ。変えさせられはしないのだ。頭では理解しても、視界を遮られたりすると、邪魔臭さに蹴り飛ばしたくもなる。ヴァンパイアの巣窟でなければしていたが、ここではアスカも男に甘え、任せると決めていた。応接室を探るにも男の肩先から首を伸ばす以外に方法はなかった。
部屋はゆったりとして心地良く、古風な色合いの壁紙と調和し、書棚、大時計、マントルピースといった伝統的な調度ともしっくり馴染んでいる。優しい作りの小円卓と肘掛け椅子が、部屋に漂う古めかしさに色彩を与え、応接室というより親しい仲間が集う談話室のようにも見せている。
その肘掛け椅子に、男が二人、腰掛けていた。見た目はアスカの安心安全な男と同年代で、高級感溢れるスーツに身を包んでいた。二人の他に少年が一人いた。少年はマントルピースに寄り掛かり、不貞腐れた顔付きで、男二人を無視するように視線をずらして立っていた。
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