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子供は困る?

「黙ってろってか?」  アスカは嫌みな調子で男の思いを口にしたあと、笑うように話を継いだ。 「ホント、心配性だな、ハゲても知らねぇぞ」  男を知るまでは、アスカが目にしたヴァンパイアは若く逞しいだけでなく、総じてハゲていた。仲間にならって、男のふさふさな頭もハゲないとは限らない。美男揃いのヴァンパイアとハゲとのかかわりを聞いてみようとは思っているが、さすがにここでは聞けないことだ。男にもしっかりと無視された。ハゲがタブーだったのかもしれないが、死人も驚く程に固まり続けている。  男は完璧な静止によって完全に気配を消していた。その男に守られ、アスカのことも気付かれていない。ヌシには無駄だが、普通の人間である男二人には効果がある。 「これだから子供は困る」  男の一人が恐れ気もなくヌシに声を掛けた。ヌシを子供と思い、邪な考えで好きにしようというのだろう。高圧的な声音に浮かぶ微かな裂け目から淫猥な響きが漏れていた。

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