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俺の帰りを?

〝ヌシのバカバカバカ!〟 〝幻惑したのに!〟 〝どうして椅子に座らせておかないの!〟 〝もう絶対なんにも教えてやらないからね!〟 〝アレもなし!〟 〝コレもなし!〟 〝なんにもなし!〟 〝ヌシのぉぉクソったれっっ!〟  最後はアスカの口癖を借りたようだ。精霊達は声を綺麗にハモらせ、決め台詞とばかりに叫んでいた。 「アホがっ」  アスカはこれしかないと前に言った同じ言葉を投げ付け、そのあとで声音を低くして言った。 「あんたらさ、俺には怖がって見せてたよな、けど、話しっぷりからして大の仲良しじゃね?だろ?」  アスカの声に精霊達がびくついた。騒ぎがぴたりと静まったのでわかる。 〝な……仲良しなんかじゃ〟 〝ないもん〟  可愛く声を揃えて答えているが、裏ではどう言い訳しようか必死になって考えていそうだ。その様子がアスカには透けて見える。 「なら……」  アスカはむすっと、興ざめしたような気分で続けた。 「おとなしく家で俺の帰りを待ってろよ」

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