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男を目指して?

 聖霊達の大騒ぎを男二人には知られていない。アスカに咎められてしゅんとしたことも、わかりようがない。当たり前で心配にもならないが、脇目も振らずに廊下を進む二人の頑なさを見ると、アスカは幻惑が切れた時のことを思わずにはいられなかった。二人は怖いもの知らずだ。黙ってはいないだろう。 「なぁ……」  アスカは廊下に目を向けたままで安心安全な男に声を掛けた。 「あの二人、アレが切れたら、それこそキレんじゃね?」  面倒なことになりはしないかと思って聞いたのだが、返事がなかった。気にして男に視線を戻したその目の前で、僅かな時間も惜しむように瞬時移動をされたせいもある。聖霊達に構って時間を無駄にするなと皮肉られたようだ。アスカが呆気に取られ、アホ面を晒した時には、男はヌシと向き合う位置に直立不動の姿勢で立っていた。 「クソっ」  アスカは瞬間移動に負けるものかと、ロングドレスにもたつきながらも、男を目指して走って行った。

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