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見せ付けた?

 この時、アスカは駐車場で男に抱きかかえられていた時に見た夢と同じ感覚に陥っていた。あの時は男の腕の中で夢精ギリギリの稚拙な夢に興奮した恥ずかしさから、なかったことにしてしまったが、二度目となると考えさせられた。ヌシに幻惑を仕掛けられた直後だ。幻惑されない体質が引き起したと言い繕えなくもないが、気にしないようにしても疑念は消えないでいた。  幻のような男の鼓動とぬくもりが、アスカに暴れるのをやめさせる。男もすっと力を抜いて、アスカの首から腕を離す。ヴァンパイアの完璧な無表情に戻り、アスカの腕を掴み直して死人のように固まって行く。 「逃げやしねぇっての」  アスカはふざけた調子で男に言った。男の手の冷たさにほっとしたせいもあるが、ぐいっと後ろに引っ張られ、その背に隠された時にはむっとし、ぷっと頬を膨らませた。君臨するヌシであっても、男の糧であるアスカには手が出せない。それをヌシに見せ付けた男に腹が立つ。

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