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僕には失敗?
「あんた……何を言ってる?」
アスカには理解出来なかった。何が面白いのかもわからない。それがヌシには嬉しいようだ。ウキウキしながら話を継いでいた。
「キイが守らなくても大丈夫ってことだよ、いつかを願って建てたこの城も、お兄さんに変態屋敷って言われちゃうし、かわいそうったらなかったな、だけど、あの人が〝特別〟なモンスターに生まれるなんて驚きだよ、お兄さんを待ってたのなら、泣けちゃうな」
アスカは眉根を寄せてヌシを見た。ヌシはアスカの困惑を喜び、悪戯を思い付いた子供のように瞳を煌めかせて続けている。
「自分のことはわからない?占い師なのに?」
「ったりめぇだ、占いなんて仕事でしてるだけだぞ、聖霊達の噂だって仕事以外じゃまともに聞いたことがねぇ、俺には今だけ、過去も未来もその為のもんさ」
「だからか、さっきあの人の声を聞いたけど、キイに気付かれる前に、お兄さんが自分の意思で抑えたんだ、僕には失敗したけどね」
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