173 / 812

僕には失敗?

「あんた……何を言ってる?」  アスカには理解出来なかった。何が面白いのかもわからない。それがヌシには嬉しいようだ。ウキウキしながら話を継いでいた。 「キイが守らなくても大丈夫ってことだよ、いつかを願って建てたこの城も、お兄さんに変態屋敷って言われちゃうし、かわいそうったらなかったな、だけど、あの人が〝特別〟なモンスターに生まれるなんて驚きだよ、お兄さんを待ってたのなら、泣けちゃうな」  アスカは眉根を寄せてヌシを見た。ヌシはアスカの困惑を喜び、悪戯を思い付いた子供のように瞳を煌めかせて続けている。 「自分のことはわからない?占い師なのに?」 「ったりめぇだ、占いなんて仕事でしてるだけだぞ、聖霊達の噂だって仕事以外じゃまともに聞いたことがねぇ、俺には今だけ、過去も未来もその為のもんさ」 「だからか、さっきあの人の声を聞いたけど、キイに気付かれる前に、お兄さんが自分の意思で抑えたんだ、僕には失敗したけどね」

ともだちにシェアしよう!