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バレちゃった?

 アスカは意識に響く少年らしい伸びやかな声の先にヌシを見た。そこには小姓装束も麗しい美しい姿があった。 「キイは戦乱の時代に生まれてる、領主の嫡男で、あの人とも子供ん時に親同士の策略で結婚したんだ、人質なのにね、キイは夢中になってたな、だけど政略結婚したって一時しのぎだよ、周りは敵だらけ、家督を継だのだって僕くらいの年で、その日からは戦いの毎日だった、戦って戦って、名を馳せたってのかな、そんな頃だよ、とち狂った家臣に謀叛されたのはね、そいつのこと、信じてたんだ、裏切られるなんて考えもしなかった」  ヌシは燃え盛る炎の中に立ち、時間を操るように麗しい小姓のその口を借りて語り続けて行く。 「そいつ、キイに仕官したいけど側にも行けなくて、だから、あの人の母親と生まれ故郷が同じなのを利用して、血筋だって嘘ついたんだ、キイは彼女に甘々だったからね、母親の家は滅んでたし、バレないと思ったんだ、でもバレちゃった」

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