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アスカを見る?
アスカの意識に溢れ出ていた過去が暗闇に覆われ始める。薄れ行く意識が伝えて来たものは、変態屋敷の応接室の床に倒れ込みそうな自分だった。それを男の手に支えられようとしている。瞬間的には安堵した。すぐに誰を思ってのことなのかを考えた。アスカは女々しいのは顔だけにしろと、自分を罵りたくなった。
「触んじゃねぇ!」
必死になって声を張り上げ、男の手を払い、自力で踏ん張った。何が起きたのかを男は知らない。ヌシがアスカに何を見せたのかもわかっていない。過去でどれ程の時間を過ごそうが、現在の時間はそのままだ。アスカは過去から解放された途端、〝美月〟と怒りを込めて名前を呼んだ男と向き合うことになる。
男の怒りは、声高に愛を叫んだようなものだ。昔の女を何百年も引きずる男は、今も極自然にハンサムな顔を悩ましげに翳らせ、アスカを見る。その眼差しが瞳に集中していないとしても、それを喜ぶような間抜けにアスカはなれなかった。
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