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俺に何を?

「ああ、クソっ」  アスカには悔しさしかなかった。男に感じたもの全てが、魂の奥深くに潜む細く柔らかな声に繋がっていた。そこに自分の意思があるのか否かもわからなくなっている。笑えることに、アソコだけは違うようだ。明確な意思でもって、魂の記憶が見せた男の裸体に、ぴくッとしてみせたのだ。炎の中へと歩き出した時の背中から尻に掛けての雄々しさに感動したのだが、アスカの知性はアソコ程に正直にはなれないでいた。非日常的な肉体美も、細く柔らかな声には日常だった。そこに一層の悔しさを思うのだった。 「クソクソクソ」  アスカの呟きを聞き付けたように、ヌシが笑った。 「うっふふん」  その意味深な笑いに、アスカの悔しさも膨れ上がる。何をさせるにしても、ヌシは男をだしにして、アスカを自分に縛り付けたのだ。 「どけっ」  アスカは男に声を荒らげた。動く気配のない男を睨み付け、そのままの勢いでヌシに言った。 「あんた、俺に何をさせたい?」

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