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十八年の人生?
血の系譜と呼ばれる記憶、それ自体にモンスターを塵にする力はなかった。塵にする方法は別にある。ヌシに感じた恐れからして、それが出来るのもアスカなのだろう。聖霊達の声を聞ける〝特別〟な『霊媒』の能力は、元は人間であったモンスターの過去を明らかにすることだけではなかった。モンスターを塵にする〝特別〟な力を持つ者でもあったのだ。
時代が変化し、今ではモンスター達も法律を遵守し、平和に暮らしている。人間が恐怖し、彼らと戦ったのは、遥か昔のことだ。それでもアスカの存在を知ったのなら、利用しないとは限らない。怖いもの知らずな男二人がいい例だ。ヌシへの脅しに十分に役立つ。
聖霊達は過去について何も喋らないとモンスターと約束したが、争いを避けることで、その後に誕生する〝特別〟な『霊媒』の身が守れると考えたのだろう。〝落ちこぼれの用なし〟では見向きもされない。それはまさにアスカの十八年の人生そのものを示していた。
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