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有益な情報?
「ったく、冗談じゃねぇぞ」
細く柔らかな声を―――昔の女を、何百年も引きずる男を助ける義理は、アスカにはない。その女の魂をかかえていようが関係なかった。
「ああ、全然ねぇよな」
男はアスカをアスカとして見ていないのだ。その事実に怯えはしたが、〝みつき〟と本名で呼ばれたあと、昔の女を求め、瞳だけに集中された現実には腹が立ってならない。それだけで細く柔らかな声の願いを断る理由になると、アスカは思う。
「なのに助けろだ?」
アスカは胸のうちで悪態を吐いた。
「くそったれがっ」
しかも声は男が塵になるのを願っていない。ヌシからの解放だけを願っている。アスカの能力で果たせることだと言いたいようだが、今のアスカには聖霊達の声を聞くことしか出来ない。彼らの話はろくでもない噂ばかりで、有益な情報となると皆無だ。魂の記憶にしても、精霊達から聞かされたのではない。ヌシが仕掛けたことで知った。それでどう助けろというのだろう。
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