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高度な技?

 アスカがハゲに拘るのは、ヴァンパイアにおけるハゲの比率とハンサム揃いな彼らの美意識を気にしたからで、決してハゲを嫌ってのことではない。それにアスカには、ハゲよりも気になることが他にある。 「アレだ、アレ、ナマなケツと背中さ」  洒落たVネックニットとスリムシルエットのスラックスの下がどうなっているのかは先刻承知だ。男は着痩せするタイプと、アスカは理解している。非日常と思ったその裸体を日常にし、堪能するのだ。〝落ちこぼれの用なし〟な能力の活かし方が謎なままでも、長々考えた末に出した結論には、顔もにやつく。 「うぷぷぷっ」  アスカは思わず声を出してしまったが、無意味に抑えたアスカの笑いに、男がわざわざ後ろを見遣って反応するとは思わなかった。男は無表情のまま、ほんの微か目を細めて思いを伝えるという高度な技で、またも〝余計なことを考えるな〟と、そこはやはりケチ臭い根性なしらしくアスカの気分を凹ましに掛かる。

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