「クソったれがっ」 　アスカは思わず呟いた。子供っぽい口調でアスカを操ろうとしたヌシに、ムカついたのだ。悪態も吐きたくなる。それにヌシの機嫌に踊らされたくもなかった。気に入ろうが入るまいが、好きにしろと睨み付けるが、ヌシの楽しげな様子に変わりなく、アスカには喜んでいるようにも見える。 「僕達、人間が怖いんだ」 　そう返したヌシの口調が、より楽しさの増したものになっていた。 「だから約束したの、聖霊達もちゃんとわかってくれたよ」 　理屈が脅しになるとは笑えたが、〝特別〟なモンスターが真正モンスターの脅威というのは、アスカも理解している。それで軽く頷くことで話を流した。 「うふふっ」 　ヌシがアスカの思いに触れたように可愛らしく笑った。その笑い方が、噂に花を咲かせる精霊達を思わせる。アスカをイラつかせ、煽ろうというのかもしれない。 「キイはね……」 　本人を前に、噂するかのように男について話し出すヌシに、事実イラついた。