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何があった?

「キイはね……」  ヌシの執拗な繰り返しが子供じみた嫌がらせと、アスカにはわかっている。のらくら話すのも、男を困らせたいのと、アスカを焦らしたいのとでしていることだ。アスカはふんと鼻を鳴らして、その気持ちに応えてやったが、ヌシには不興だった。ヌシの頬が歯がゆげに膨らむ。それでヌシが男について話すのをやめたりしない。すぐに気持ちを浮き立たせ、初めから話し出す。 「キイはね、あの人の魂が戻って来るってずっと信じてた、この城を建てたのだって、あの人っぽい女の子が生まれたからだよ、でも違ってた、だから僕、ここをもらったの、キイ、もう無理って諦めてたしね、お兄さんにもホント興味なくて、なのに直に会ったら気にしちゃってさ、それって愛で変異したせいだよね?」  男を〝僕のもの〟と言い切る我がままさで、ヌシが平然と同意を求めて来る。アスカはそれを無視して、手慣れた感じにさらりと言った。 「で、あんたには何があった?」

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