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調べろ?

「おいおい」  アスカは呆れるように言った。それでいて興味も湧き、慎重にヌシの機嫌を量りながら話を継いだ。 「動画のアレ、ヴァンパイアコスってたよな?」  ヴァンパイアと人狼の不仲は有名だ。少女の行方不明と繋ぎ合わせれば、見えて来るのはこれしかない。 「『人間外種対策警備』がやらかしたってのか?」  ヌシの疑いもそこにあるようだが、幾ら悠久の年月不仲であっても、現代のこのモンスター居住区では共存関係にある。互いの鬱憤晴らしも法廷という場で平和に行われている。人間の少女を使ってヴァンパイアを陥れたところで、意義があるとも思えなかった。 「奴ら、あんたらと人間のあいだの揉め事、処理してっけど、行方不明なんて、それこそ奴らの仕事じゃね、となりゃ全部ヤラセってこった、けど、それじゃ自分で自分の首、絞めるようなもんだろ」 「だね」  ヌシの口調は〝だから調べろ〟と言わんばかりだった。アスカがむすっとしたのは言うまでもない。

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