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救われた?
「クソっ」
アスカは悔しげに言った。腹いせにヤヘヱを怒鳴ってみたが、男がヤヘヱに何も言わないのでは憂さの一つも晴らせない。むしろ男の自惚れを増長させてしまった。男はアスカの喉元を掴んでいた手を滑らせるようにして動かし、指の腹で〝紋章〟と言い張る〝キスマーク〟をなぞり出している。
「ヤバっ」
アスカは密やかに呟いた。男の手のひんやりした感触が熱い。その有り得ないぬくもりに、アソコが反応し始める。〝キスマーク〟にかこつけて媚薬を注ぎ込まれたのかもしれない。糧が逆らえないのも、それならわかる。後ろに下がるだけで自由になれるのに、どうしても出来ないでいた。
「……っ」
声にならない声まで出て来る。十八年の人生では何百年も生きる男の手練をはね付けられない。軽く〝キスマーク〟に触れられただけでイキそうになる。とんだ恥かきになるのを覚悟する他なかったが、その時、やたら元気な声がして、アスカは救われた。
「あああっ」
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