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イケっぞ?

「人間種の調査は最低でも三年を空ける、だけど人間外種の特別調査にはそういうの、全然ないからね」  フジには男の声音が気にならないようだ。怒りを含んだ重苦しい響きにも、それが普通と答えて行く。 「だから今年もだよ」  明るく元気なヴァンパイアは、アスカの怒鳴り声には震えまくるが、恋人のヴァンパイアの機嫌には無頓着だった。 「見せ付けてんのか?」  アスカは胸のうちで呟いた。男に対するフジの余りに自然な雰囲気にそう思えてならなかった。フジにはアスカが気を使う隙間もないくらいの余裕がある。〝やりてぇ〟と〝逆らえぬ〟で言い争うこともしなさそうだ。それをつまらないと思ったところで負けは負けだ。勝っても負けても恨みっこなしのタイマン勝負と覚悟はしても、旗色の良くない修羅場がさらに劣勢へと傾くのは面白くなかった。 「けど……」   アスカは男の魂を解放するという役目を言い訳に呟き続けた。 「で、修羅場さ、だろ?まだまだイケっぞ」

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