261 / 814
前向き?
修羅場に拘る理由を考えると、アスカの思いはどうしても〝やりてぇ〟に行き着く。聖霊達のろくでもない修羅場に乗って男を塵にしないまま魂を解放させる。ついでに目くるめく愛欲の炎を頂く。身を焦がすだけなら〝やりてぇ〟でも〝逆らえぬ〟でも構わないと思うが、アソコが可愛いアスカにはやはり〝やりてぇ〟しか考えられなかった。
「俺にくっ付いて生まれたんだ、使ってやらねぇとな」
アスカは小さいながらも声を出して呟いた。ヴァンパイア達が聞いていないのがわかっていたからだ。男は腹を立てるのに夢中でアスカのことは眼中にない。何かというとびくついていたフジでさえ、男を励まそうと話を継ぐのに没頭している。
「特別調査、毎年、行き成りだったよね?ぎりぎり夕方でも、今年は明日と連絡をくれた、それを喜ぼうよ」
恋人同士の隠微な遣り取りがわからないうぶなアスカにも、フジが明るく元気なだけでなく前向きというのは、理解出来ることだった。
ともだちにシェアしよう!