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愛されアピール?
「代表がヌシさんの財力を支えてるってのもあるけど……」
フジの口調が微かに幼さを帯びたのは、アスカの居丈高な腕組みに怯えたからだろう。ちらちら動くフジの視線にアスカはそう感じた。
「毎回アルファ自らのお出ましで、いつも予定より長くなっちゃう、自分の目で確かめるっていう代表の方針はわかるけど、代表とアルファの睨み合いに人外税局の職員もうんざりなんだ、だから今回は代理人の僕に……って、うん、本当に人だった頃の資格が剥奪されなくて良かったよ、これも代表のお陰だね」
そこでさり気なく愛されアピールをされるとは思わなかった。アスカは負けるものかと、男と揃いの仁王面で対抗した。狙い通り、フジがびくついた。慌てて愛されアピールで逸れた話を元に戻し、ここに来た理由を早口で話す。
「と、そんなことより、僕に一任するという委任状をもらうことで調査日程の短縮を取り付けたよ、それで代表のサインがソッコー欲しくて来たんだ」
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