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責める相手?
アスカがクソ車のボンネットに唾を飛ばした時に、男は嫌な顔をして見せた。革靴にも飛ばしているが、その時には見せなかった不快さをクソ車の時には見せたのだ。男の心のうちを思うと、アスカには寒風吹きすさぶ殺伐とした情景が浮かんでならない。
「おいおい」
アスカは男の気持ちを推し量り、男に代わって情けなさを出して言った。人間なら凹みもしないが、ヴァンパイアの怪力は凄まじい。一瞬でウルトラハイパースポーツカーをお釈迦に出来る。そうした事実も、真っ赤になってクソ車を眺めるフジには違う意味があるようだった。
「今回の調査、これのせいなのに」
フジは大胆に、アスカには甘えにも映る強さで話を継ぐ。
「代表は取り合わなかったけど、僕は人外税局が黙っていないと言ったよね、並の金額じゃないから、それを盾に調査に来るとね、壊したって関係ないよ」
その勇ましさに男は負けた。責める相手のいない悔しさで簡潔にこう言ったのだ。
「クソっ」
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