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ヤヘヱと二人?

 ヤヘヱはフジに促されるままにアスカを仲間外れにした。それは間違いないが、内々の話で盛り上がる二人に嫌らしさはない。たまたまそうなってしまっただけのことだ。アスカは二人のあいだに割って入るような無粋になるより、ぐずぐずと独りで悪態を吐くような惨めさに身を置くことで気を紛らわしてもいたのだった。 「ったく、笑えねぇ」  フジはヤヘヱの気持ちを満たし、話が横道に逸れそうになると口を挟み、核心部分へと戻して行く。それを適度な間隔で繰り返している。聖霊達のろくでもない噂は耳を素通りさせるアスカには発狂ものだが、その有能さでフジが確実に情報を仕入れていることには気付いていた。 「けど……」  アスカは聖霊達の噂を頼りに占いをする自分との違いを思った。無駄な話をさらりと流し、必要な部分を簡潔に促すアスカのような使命感的熱意がフジにはない。ヤヘヱと二人、アスカに無視されてもルンルンな聖霊達のように楽しそうにしていた。

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