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くるりと回し?

 軽々抱き上げられて瞬間移動でクソ車まで運ばれたことは、男としての誇りをボコボコにされたようなものだ。喉元を掴まれ、身動き出来ないようにされたことも、一生の不覚とアスカは思う。男の超高級な腕時計に潜んでいたヤヘヱにはその全てを知られている。  男との遣り取りが〝やりてぇ〟と〝逆らえぬ〟に変わった時には、ヤヘヱも聖霊らしい好奇心で口出しして来た。〝おおっ!〟と言い、アスカに怒鳴られると〝おおっ?〟と言い換え、びくつきながらも気持ちを大きくしてアスカをからかった。ついさっきの半泣きを思うと、そこら辺りまでネチネチ語って仕返すつもりでいたのは確かなことだ。 「おい」  アスカはフジの玩具のような腕時計で揚々と煌めくヤヘヱを呼び、脅すように言った。 「わかってっぞ」  煌めきがびくっと跳ねたが、それも一瞬のことだ。ヤヘヱは煌めきをくるりと回してアスカを無視し、弾むようにフジに問い返している。 〝はて、何用でござる?〟

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