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同じ〝き〟?
「うん、あのね、ヤヘヱさんの話で思ったんだ」
ヤヘヱは変態屋敷での出来事を自分なりに反芻するうちに、アスカへの恐怖を払拭したようだ。世界は〝我らが殿〟を中心に回るヤヘヱには、〝御台様〟の魂を潜ませるアスカは身内も同然だ。しかも首に男の〝キスマーク〟を持つ。びくついたとしてもすぐに立ち直り、無視するようになれたのも、男の側役と自認する自分を重視してのことだろう。つまり子供じみた焼き餅だ。
フジは複雑なところを見せていた。アスカの不気味な笑いが尾を引いているのかもしれないが、ヤヘヱのような単純な嫉妬ではないようにも映る。フジの遠慮がちな物言いには苛立ちも滲み出ていた。
「代表がかかわるなと言うから、近所付き合いもしなかったけど……」
「ちょっ、それ、き……って」
アスカは驚き、咄嗟に聞いた。
「き……か?」
同じ〝き〟でもアスカには違いがある。〝近所付き合い〟と〝気のいいお二人〟だが、フジにその違いはない。
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